街路樹

 

いつの間にか十一月も半ばを過ぎていた。

しとしとと雨が降る。寒さと濡れた落ち葉の匂いだけが梅雨とは違うことを肌に報せてくれる。

 

朝晩は凍えるような寒さなのでコートだかマフラーをぐるぐる巻きにしてまるで真冬みたいに装って通学している。満員電車で通勤通学の人々に囲まれてうとうととまどろむのって心地いい。

とにかく寒い。寒くなると、ぽかりと空いた穴を埋めるようにことばが書きたくなることってあるかもしれない。

 

このごろは学生らしく論文執筆に追われている。

テーマに関連した歴史を記述してゆくとき、10年前の出来事でも、100年前の出来事であろうとはっきりとした諸問題の原因などわからない。ひとつの民族について、ひとつの定義について説明を果たすことすら困難で1990年代の出来事を述べようとしているのにもかかわらず、1800年代初頭から物語を書きはじめている「わたし」がここにいる。それすら不十分で落ち着かないような気持ちにさせられる。

 

原因も対処法も何もかもわからないけれど現代の「いま・ここ」で起きた出来事に執着せず遡ること、ひとつでもこと細かな出来事を知り、間接的にでも血肉とすることー経験していないものごとの「翻訳不可能性」を常に脳髄に意識させながらー出来事を可能な限り多くの立場からの情報をもとに俯瞰し、想像すること、そして自分なりに考え続けること。

 

祈りに変え、わたしにはそれくらいしかできないだろう。

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